<講演会>
11月19日(土)(14時から)、版画家吉原英里(よしはら・えり)さんによる記念講演会「制約は力―父と私」が(友の会の主催で)開催されました。当日の土砂降りの雨にもかかわらず90名近い方々が聴講にお越し下さいました。
吉原英里さんのオリジナル版画プレゼントは、昨年に引き続き2年目。前回の『画家の椅子』シリーズも友の会のメンバーたちに大変人気でしたが、今年度は新たに『ガーデン』シリーズ4点を制作してくださいました。
さて、版画家・吉原英雄氏の企画展も、この日に当館二階展示室でオープンしましたが、同氏は、英里さんの父君です。展覧会開催と版画プレゼントがたまたま重なったこともあり、英里さんは講演内容に、子供の頃の思い出や、父親の制作姿勢が自分に与えた影響も盛り込んでくださいました。
幼少の頃、美術館に家族で出かけたとき、父親は自分の感じた事を自力で表現するよう促して、子供の純粋な気持ちを引き出そうとしたこと。家の真ん中にアトリエがあったため、父の作品をよく目にし、作品を見て友達と歌った歌がその題名になったこと。中学生の頃は、家にいつも芸大関係者が来て、夜遅くまで芸術論を熱く語り、そのような環境が美術系の大学進学に繋がったこと。人は自ら間口を狭めることで、はじめて画家の視点を見いだし、その積み重ねによって次の自分を見つけることが出来るものだと父親が語っていたこと。
もちろん吉原英里さんの独自の創作活動にも話は展開しました。
初めてのヨーロッパ旅行から帰国後、旅先で集めた新聞、切符、ナプキン、素敵な印刷物を雁皮紙(がんぴし)と呼ばれる和紙に挟み、版画を刷る方法で制作したこと。「ラミネート」と名付けられたオリジナル技法を編み出した頃から作家としてのまなざしを持つようになり、版を刷る過程でイメージが増殖していく不思議さに気づいたこと。また版を一つの素材と考え、刷りながら絵を作っていく方法をとり、その距離感の面白さを後にガラス絵やドローイング、油絵にも表現していったこと…。
興味深い写真の数々、そしてユーモアを交えたお話に、聴衆のみなさんは熱心に聞き入り1時間はあっという間にすぎました。
吉原英里さん、どうもありがとうございました。
<茶話会>
記念講演会に引き続き、15時30分から1F応接室で、友の会版画プレゼントの関連事業として、版画家吉原英里さんを囲む茶話会が開かれました。
茶話会では、吉原英雄氏のご夫人、良子さんが、夫の制作に対する熱い思いを話してくださいました。また、「作品はみなさんに観ていただくことによって、蘇るものだと今回の展覧会で痛感しました」と、とても感慨深いお話をしてくださいました。
参加された会員の皆様はじめ吉原英雄氏と交流のあった方々は、とても和やかに会話を楽しまれました。
