美術館の中で、展示されている作品のそばに一番長くいるしごと、それが監視のしごとです。「ただ作品のそばに座っているだけ」なんて思っていませんか?実はそんなに楽な仕事ではありません。作品を見ている人の邪魔をしないようにしながら、作品が安全な状態にあるかを常に目を配っていなければならない、とても大事なしごとなのです。
「監視」するというと、お客さんを「監視」しているようで、あまりいいイメージがないかも知れません。実際、作品に近づきすぎている人には、声をかけて注意をうながすこともします。その時、もしかしたら注意された人は、「さわっちゃいけないことぐらいわかってるよ。うるさいなあ。」と思っているでしょうか。かく言う私(学芸員)も、よく他の美術館で思わず作品に近づきすぎて、注意されることがしばしばです・・・。
けれどもし、わざとではなくても、作品を傷つけてしまったらどうなるでしょう。和歌山県立近代美術館の所蔵作品は、和歌山県民みんなの持ち物(これを「共有財産」といいます)ですから、そんなことがあっては困りますね。また、大切な作品を、他の美術館や個人の方からお預かりしている場合もあります。そして何より、一度こわれてしまったものは元には戻りません。作品はお金で弁償したところで、同じものはもうないのです。作品を傷つけてしまった人もいやな経験をしてしまうのですから、もう美術館には行きたくないと思うかも知れません。そう考えると監視のしごとは、作品を守るだけでなく、お客さんの立場も守っていると思いませんか。
また、本当はあっては困りますが、緊急事態が発生したときには、お客さんを安全に出口まで誘導しなければなりません。そのために、実は椅子の下には懐中電灯も置いてあるのです。
そして当館の監視は、展示室でのチケットチェックもしています。作品の目録をお渡ししたり、必要な方には鉛筆の貸出しもしていますので、おたずねくださいね。
監視のしごとを体験した中学生からは、(われわれの予想通り)「じっとしているのは思った以上に大変だった」という感想もありましたが、「気に入っていた作品のそばに長時間いられて、すごく楽しかった」という声もありました。確かにそうですね!

