令和7年度 友の会ミュージアムコンサート「響きわたる音と空間」

和歌山県立近代美術館友の会によるミュージアムコンサートを12月6日(土)に開催します。

日時:2025年12月6日(土)14:00〜15:30  
場所:和歌山県立近代美術館 JR和歌山駅または南海電鉄和歌山市駅からバスで約10分、「県庁前」下車、徒歩2分
友の会会員:無料 会員以外:要観覧料
お申込み:073-436-8690
お申込みはお電話のみで承ります(先着順)。定員に達し次第、受付終了いたします。(要予約)
主催:和歌山県立近代美術館友の会

出演:菊地秀夫(クラリネット)、小寺香奈(ユーフォニアム)、渡辺裕紀子(作曲)


Program(予定)
エントランスホール、2階展示室「MOMAWコレクション 現代の美術」、2階ホールなどでの演奏

ジャチント・シェルシ(イタリア、1905–1988)
マクソンガン(1976)― ユーフォニアム
Giacinto Scelsi: Maknongan

ナ・ソクジュ(韓国、1981–)
vkqzhs ポップコーン(2011)― クラリネット
SukJu Na: vkqzhs

マルトン・イレシュ(ハンガリー、1975–)
三つの水彩画(2015)― クラリネット
Marton Illes: Three Watercolors for Solo Clarinet

トム・ジョンソン(アメリカ、1939–2024)
ラショナル・メロディーズ(1982)より抜粋 ― クラリネット、ユーフォニアム
Tom Johnson: Rational Melodies

松平頼暁(日本、1931–2023)
ディスタンス(2020)― クラリネット、ユーフォニアム
Yoriaki Matsudaira: Distance

渡辺裕紀子(日本、1983–)
新作(世界初演、観客参加型の音楽作品)―クラリネット、ユーフォニアム、映像、観客の携帯電話
Yukiko Watanabe: New Work


視覚と聴覚の交差点:展示空間で立ち上がる音のインスタレーション

20世紀後半から現代の世界へ。世界の音楽がクラリネットとユーフォニアムの柔らかい音色と重なり、美術館の空間全体を使ってひとつの楽器へと変えていきます。
イタリアの巨匠ジャチント・シェルシ(1905–1988)は、マーク・ロスコ(1903–1970)が深い色面に多様な世界を映し出したように、ひとつの音の中に無限の色彩と響きを聴き取ろうとしました。その探求はいまもなお多くの作曲家に受け継がれ、音楽表現に大きな影響を与え続けています。
20世紀後半に同じ時代を生き、近年相次いでこの世を去ったトム・ジョンソン(1939–2024)や松平頼暁(1931–2023)の作品は、同じく昨年亡くなったフランク・ステラ(1936–2024)の幾何学的構成と鮮烈な色彩に満ちた抽象作品や、1960年代後半のフランス前衛芸術運動「シュポール/シュルファス」を代表するクロード・ヴィアラ(1936– )の有機的な繰り返しのパターンと呼応しながら、その時代の対話をいまに伝えてくれます。
現代を生きる作曲家による作品もまた、この流れに未来の視点を重ねます。韓国のナ・ソクジュ(SukJu Na, 1981– )やハンガリーのマルトン・イレシュ(1975–)の作品、そして日本の渡辺裕紀子(1983– )による新作などが加わり、彩りを添えます。渡辺の新作では観客自身が音を出して参加する試みも予定されており、美術館全体が共鳴の場へと変わり、新たな創造が立ち上がります。
出演は、大桑文化奨励賞、和歌山市文化奨励賞を受賞し、ユーフォニアムの新たな可能性を切り拓く小寺香奈と、現代音楽のスペシャリスト集団「アンサンブル・ノマド」のメンバーとして数多くの新作演奏を担ってきたクラリネット奏者の菊地秀夫です。
音と美術作品、そして空間がひとつに溶け合うひとときを、ぜひご体験ください。

小寺 香奈(こてら かな)/ユーフォニアム
東京藝術大学大学院修了。ヤマハ管楽器新人演奏会出演。ユーフォニアムを稲川榮一、外囿祥一郎、三宅孝典の各氏に師事。国内主要オーケストラ、吹奏楽団への客演奏者としての活動のほか、ソロや室内楽では、現代音楽の分野で活発に活動しており、 同時代作曲家の新作初演を数多く手がけている。 これまでに、日本、ドイツ、 ニュージーランド、アメリカなどで、現代音楽作品の演奏やレクチャーを多数行ってきた。 ドイツ、ケルンのアンサンブル・ムジークファブリック、ケルン音楽舞踏大学でも研鑽を積む。 2016 年にリリースしたアルバム「ディスカヴァリー・ユーフォニア ム」 は、レコード芸術誌「準特選盤」、音楽現代誌「推薦盤」などに選ばれた。 2021 年には、⾓⽥鋼亮指揮、セントラル愛知交響楽団と、⼭本裕之作曲、ユーフォニアム協奏曲《デ ィクトゥム・ファクトゥム》(世界初演)のソリストとして共演し、好評を博した。 2023 年度大桑文化奨励賞、令和 6 年度和歌山市文化奨励賞を受賞。和歌山大学准教授。

菊地 秀夫(きくち ひでお)/クラリネット
桐朋学園大学音楽学部演奏学科を卒業、同大学研究科修了。クラリネットを二宮和子氏に師事。1993年、現代音楽演奏コンクール〈競楽 II〉にて内山厚志氏とのデュオで第2位入賞。1996年にはドイツ・ダルムシュタット音楽祭において奨学生賞を受賞。卒業後は現代音楽アンサンブル「アンサンブル・ノマド」のメンバーとして多数の公演に参加し、国内外の現代作品を積極的に演奏している。また、ジャズミュージシャンや他ジャンルのアーティストとのコラボレーション、ライヴ活動なども行い、その活動領域は幅広い。教育活動にも力を注ぎ、国立音楽大学、尚美学園大学で非常勤講師を務め、後進の育成にもあたっている。

渡辺 裕紀子(わたなべ ゆきこ)/作曲家
花岡千春氏にピアノ、桐朋学園大学にて原田敬子、間宮芳生の各氏に作曲を学ぶ。2008年ロームミュージックファンデーション奨学金および文化庁新進芸術家海外研修制度を受け、渡墺。グラーツ音楽大学でベアート・フラーに師事し、修士課程を修了。その後、DAAD奨学金を得てケルン音楽舞踊大学でヨハネス・シェルホルンに学ぶ。同大学でドイツ国家演奏家資格を取得。その後アンサンブル・モデルンIEMA奨学生として研修を行う。 オーケストラ作品《折られた…》で第26回芥川作曲賞受賞。 作曲を社会と音の関係を探るためのリサーチと捉え、社会に対して小さく、私的な音楽のあり方を探求している。 女性作曲家会議の共同代表、一般社団法人Cabinet of Curiosities理事。やまびこラボ代表。桐朋学園大学、日本大学芸術学部非常勤講師。2020年より松本市在住。

 

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