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和歌山県立近代美術館と全米日系人博物館は姉妹ミュージアム提携を締結しました

署名した協定書を手にする全米日系人博物館 アン・バロウズ館長兼CEOと和歌山県立近代美術館 山野英嗣館長

開館当初から和歌山県ゆかりの渡米画家を収集の軸に据え、研究を重ねてきた和歌山県立近代美術館(MOMAW)と、日系アメリカ人の歴史を全米規模で収集・公開する博物館である全米日系人博物館(JANM)は、2024年5月22日 、調査研究、展覧会、教育普及事業における現在の協力関係を認め合い、パートナーシップと関係性をさらに深めるため、姉妹ミュージアム提携を締結しました。 

 

姉妹ミュージアム提携締結式

2024年5月22日(現地時間)、全米日系人博物館(ロサンゼルス)において、和歌山県立近代美術館と全米日系人博物館の姉妹ミュージアム提携(Sister Museum Affiliation)締結式を実施しました。

協定書には、和歌山県立近代美術館 山野英嗣館長と、全米日系人博物館 アン・バロウズ館長兼CEOが署名し、和歌山県からは岸本周平知事が、ロサンゼルスからは全米日系人博物館理事長ウィリアム・T・フジオカ氏が立会人として出席しました。

また来賓として、在ロサンゼルス日本国総領事 曽根健孝氏にご臨席いただいたほか、カリフォルニア州議会からは提携が行われたことについての証明書が発行されました。
会場には和歌山県議会より5名の代表団、和歌山県国際交流協会の職員が同席し、さらには南加和歌山県人会、太地人系クラブなど、両館の活動を支えてきた関係者が集まり、長期的な連携関係の第一歩を祝いました。

立会人である岸本周平和歌山県知事およびウィリアム・T・フジオカJANM理事長とともに記念撮影

 

全米日系人博物館(JANM:ジャノム)とは

ロサンゼルスのリトル東京コミュニティに位置するスミソニアン協会公式加盟機関で、国内外でその活動を展開しています。同館は、日系アメリカ人の歴史と文化を伝える最大規模の収蔵施設であり、そこには和歌山県をはじめ、日本各地からの資料が含まれています。また日本人であることを理由に、戦時中、基本的人権を奪われた日系人の歴史を共有することで、公民権の意義を伝えるための施設でもあります。

全米日系人博物館外観(全米日系人博物館提供)

 

和歌山県立近代美術館の移民史研究

日本で5番目に開館した近代美術館でもある和歌山県立近代美術館は、 活動の当初より、戦前のアメリカで活動した和歌山ゆかりの芸術家を継続的に研究してきました。近年では、和歌山の移民史に意識的に目を向け、美術の歴史をより大きなスケールで文脈化することを試みています。例えば、和歌山県出身者の多くがアメリカに移住し、戦前の漁業や農業に大きな影響を与えたことが知られていますが、これらのコミュニティは芸術家のコミュニティとも不可分であり、一般的な歴史と美術史の双方において、さらなる考察を必要とするからです。特に太地町歴史資料室や和歌山大学紀州経済史文化史研究所、和歌山市立博物館ら関連する諸機関と協働し、美術から見た和歌山県の移民史研究に取り組んでいます。

 

JANMと和歌山県立近代美術館とのこれまでのつながり

和歌山県内の連携を礎に、和歌山県立近代美術館は2022年より、JANMでのさまざまな調査、JANMから研究者を招いての国際シンポジウム、和歌山県内の学校とJANMとを繋いだオンライン授業などを実施してきました。このパートナーシップの最大の成果は、2023年の展覧会「トランスボーダー 和歌山とアメリカをめぐる移民と美術」(9月30日~11月30日)として結実。この展覧会は、同年10月に和歌山県が主催した第2回和歌山県人会世界大会を記念する特別事業として開催したもので、美術館が美術作品を軸としながら、多様な移民史資料をあわせて紹介した画期的な展覧会でもあり、県内外で大きな注目を集めました。

2023年の「トランスボーダー 和歌山とアメリカをめぐる移民と美術」展 会場風景

 

目標と今後の連携活動 

両館にとって、他館と姉妹提携を結ぶのは、初めてのこととなります。互いに遠く離れた場所に位置していますが、ひとつのコミュニティを共有し、繋がっているという認識を確認しています。また各館のミッション(活動の使命)に基づいた連携関係として、この協働の意義を相互に理解し、継続的な協力関係を結びつつ対話を継続することで、現代の国際社会に欠かすことのできないトランスナショナル(国家の枠組みを超えた)な視点に立った博物館活動を展開するための土台を築くことを目指します。
具体的な活動としては、職員の交流、オンラインも活用したシンポジウムや教育プログラムの実施、そして両館のさまざまなリソースや知識、 技能を活用した美術と移民の歴史に関するさらなる研究を、展覧会の開催も視野に入れつつ継続します。こうした一つひとつの活動を姉妹提携の関係を強めるものとして積み重ねていきます。

締結式に先立ち、全米日系人博物館の展示を見学する和歌山県訪問団

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