会期:2019年09月18日(水)~2019年10月23日(水)
当館では和歌山県ゆかりの人物を軸に、大正時代に活躍した作家やグループに関わる展覧会を継続して開催してきました。それらの展覧会を通して作品や資料の収集が進んだことにより、大正時代とその前後にわたる時期の充実したコレクションが形成されつつあります。この展覧会では、そのコレクションの中から洋画と版画を中心とした作品を、同時期の社会と人に関わるテーマを通して紹介いたします。
大正は、1912年7月から1926年12月までの14年あまり、大正天皇が在位していた期間の元号です。過去のある連続した時間のまとまりを、文明や社会、政治体制など、特定の観点によって区切ったものが時代ですが、一世一元の制が定着した近代以降の日本においては、元号がそのまま時代区分として機能してきました。
元号が改まったからといって、ある日を境に人や社会が激変する訳でないことは、私たちが身をもって体験したばかりです。しかし、大正時代を中心にその前後を見渡してみれば、大逆事件、第一次世界大戦、本格的な政党内閣の成立、関東大震災、普通選挙法と治安維持法の公布、満州事変など、国際的にも国内的にも、見方によっては時代の転換点と言えるような出来事が続きました。
美術作品が人間の作り出すものである以上、ある時に起こった大きな出来事や、社会的、文化的な流行などが、その表現やテーマに影響を与えることはしばしばあります。もちろん作品の特徴を時代と結びつけるのは一面的な見方ではありますが、作り手の意図する/しないに関わらず、作品からは当時の人や社会のあり方、またそれらが変化する様子を読み取ることもできるでしょう。
元号が改められた本年、美術作品を通しておよそ100年前を振り返ることで、近代から現代に至る時代のつながりと変化を、改めて見つめ直したいと思います。
主な出品作品と展示構成
1 自己意識の高まり –自己主張する若者たち–
この時代の美術作品からは、自己意識を高めた若者たちの姿がうかがえます。自分とは何か、自分はどう生きるのか、その答えを探すかのように生まれた表現をご覧いただきます。
1914(大正3) 個人蔵
1914(大正3)
2 うつりかわる都市 –たち上がる帝都東京–
新たに現れた都市の風景は、さまざまな画題を提供しています。江戸から東京への移行、関東大震災による崩壊から再び帝都としてたち上がる東京の姿を中心にご紹介します。
3 欧米との距離 –モダニズムの成熟–
1918年に第一次世界大戦が終結すると、多くの日本人がヨーロッパに向かいます。西欧で新しい表現に目覚めた画家たちと、日本で自己の表現を深めた画家たちの作品を紹介します。
4 風景の意味 –日本を見つめる、東アジアを描く–
交通手段、そしてメディアの発達は、見たことのない、あるいは見てみたい場所に画家たちを誘います。日本、そして東アジアの風景から、風景が描かれた意味を探ります。
第二輯 会津の部 桧原湖畔ー桧原村端より対岸を望む 1917(大正6)
展覧会情報
会期 | 2019年09月18日(水)~2019年10月23日(水) |
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開館時間 | 9時30分–17時(入場は16時30分まで) |
休館日 | 月曜日(ただし9月23日、10月14日は開館)、9月24日(火)、10月15日(火) |
観覧料 | 一般510(410)円、大学生300(250)円/消費税率変更に伴い10月1日より:一般520(410)円、大学生300(260)円 *( )内は20名以上の団体料金 *高校生以下、65歳以上の方、障害者、県内に在学中の外国人留学生は無料 *毎月第4土曜日(9月28日)は「紀陽文化財団の日」として大学生無料 |
関連事業
◇フロアレクチャー(学芸員による展示解説)
9月22日(日)、10月6日(日) 14時から 展示室にて(要観覧券)
◇こども美術館部「かわるがわるかわるとわかる」(小学生対象の作品鑑賞会)
10月5日(土) 11 時から12 時 展示室にて(小学生は無料、同伴される保護者は要観覧券)
*2 日前までに電話(073-436-8690)かメール(bijutsukanbu@gmail.com)で要申込み。
◇だれでも美術館部(みんなでお話しをしながら作品を楽しむ鑑賞会)
10月5日(土) 14時から 展示室にて(要観覧券)
◇たまごせんせいとわくわくアートツアー(和歌山大学美術館部学生による鑑賞会)
10月19日(土) 13時から 展示室にて(要観覧券)
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