会期:2020年09月19日(土)~2020年11月23日(月)
版画は、わが国の美術の歴史を語る上で欠かせないものであり、海外から見た日本の美術を特色づける重要な表現です。浮世絵は西欧の近代美術を多彩にし、また戦後の版画家たちの国際的な活躍は、海外で日本の現代美術が認められるきっかけを作りました。しかしながら国内においては、江戸時代までの浮世絵から脱して、近代以降、美術表現としての立場を獲得するまでには、長い時間がかかったと言わざるを得ません。例えば1964年の東京オリンピックに際して、国立近代美術館(現在の東京国立近代美術館)で開催された芸術展示「近代日本の名作」展では、自国の美術の歴史を語る文脈において、版画には十分に光が当てられませんでした。
その後、1970年代から80年代にかけて、日本各地に公立の美術館が次々に設置され、各館は地域の風土とそこで生み出される表現に向き合いながら、現在まで研究・収集活動を続けてきました。その営みは、中央から見える「日本」の姿と同じではないかもしれません。しかしそこに確かに積み重ねられてきた表現の数々を、美術の歴史として捉え直し、提示することが、地方美術館の仕事のひとつであるとも考えます。特に版画という分野においては、近代から現代までをひとつの流れとして見つめ直す課題が残されています。
本展覧会は、戦後75年、また21世紀に入って20年を経た2020年という節目の年に、地方都市にあるふたつの県立美術館である福島県立美術館と和歌山県立近代美術館のコレクションを中心に、この版画という文脈において、地方から見えるもうひとつの近現代日本美術史を編み直そうとする試みです。また、当館にとっては開館50周年を記念した展覧会です。
展示構成
1.「版画」前夜──印刷のなかの美術
2.版に向かう画家たち──『方寸』の時代
3.自己を刻む──創作版画という青春
4.「日本」の版画を求めて──新版画という挑戦
5.自立する版画──日本創作版画協会のころ
6.版画の東西──震災、都市、モダニズム
7.社会のなかで──日本版画協会のころ
8.版画の戦後──再生、そして世界へ
9.版への問い──版画の「現代」
10. 版に託す──私、心、イメージ
*10月26日(月)に一部 展示替えを行います。
展覧会情報
会場 | 和歌山県立近代美術館 2階展示室 |
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会期 | 2020年09月19日(土)~2020年11月23日(月) |
開館時間 | 9時30分〜17時(入場は16時30分まで) |
休館日 | 月曜日(9月21日、11月23日は開館し、9月23日休館) |
観覧料 | 一般800(640)円、大学生500(400)円 ( )内は20名以上の団体料金 ※ 高校生以下、65歳以上、障害者の方、県内に在学中の外国人留学生は無料 ※ 第4土曜日(9月26日、10月24日)「紀陽文化財団の日」として大学生無料 ※ 11月14日、15日は「関西文化の日」として無料 ※ 11月22日は「ふるさと誕生日」として無料 |
主催 | 和歌山県立近代美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会 |
協賛 | ライオン、大日本印刷、損保ジャパン |
関連事業
【記念講演会】感染症の対策として、人数を制限して、実施します。
10月4日(日)竹久夢二と『月映』 井上芳子(当館学芸課長)
11月3日(火・祝)日本の近現代美術を『版画』表現で再考する 山野英嗣(当館館長)
11月22日(日) 版画のきた道 美術が自分ごとになるとき 植野比佐見(当館学芸員)
いずれも14時~15時30分(13時30分開場) 2階ホールにて 定員60名(先着順)
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もうひとつの日本美術史出品リスト.pdf (ダウンロード / PDFファイル / 2.54MB)