和歌山をめぐるローカリズムとモダニズム

会期:2025年07月12日(土)~2025年09月15日(月)

和歌山をめぐるローカリズムとモダニズム シアトル・マクブライド・スタジオ《ブロンズに寄る保田龍門》1920年 当館蔵

和歌山県立近代美術館は、明治期からの「近代」という時代の美術を対象として、美術館活動をおこなっています。和歌山ゆかりの美術家を中心に、その活動を顕彰/検証することは、当館にとって大切な仕事のひとつです。

開国以来、西洋から「美術」という新たな価値観が流入するなか、それらとどのように向き合うかということは、作り手にとって大きな課題でした。そして明治から大正、昭和にかけて、洋画、日本画、彫刻、写真などそれぞれの分野における新たな挑戦や実践の連なりによって、日本における近代美術が形作られています。今回の展示は、こうした流れのなかでの、ここ和歌山における美術の動きをいくつか辿ることで、ローカリズム=地域性に根ざしながら、モダニズム=近代美術のあり方について再考する当館の活動を紹介するものです。

最初に採り上げるのは、明治末から大正はじめにかけて描かれた、大亦新治郎による和歌山市内の風景のスケッチです。絵画を学習する過程で描かれたこれらの作品からは、当時の町の姿だけでなく、西洋由来の水彩や鉛筆を用いたスケッチに取り組む学生の様子についてもうかがうことができるでしょう。また地域における美術団体やグループの一例として、大正期における南紀洋画展覧会、そして南紀美術会に参加した美術家たちの作品を紹介します。保田龍門、川口軌外など、後に和歌山を代表する美術家となる面々の若き日の姿を、ここには見ることができます。さらに写真の分野において、大正から昭和にかけてのモダニズムの時代を体現した、島村逢紅と木国写友会の活動を紹介します。

また、和歌山の近代を考える上では、海外へ多くの移民を輩出した歴史も重要です。特にアメリカへ渡った美術家たちの研究に、当館では長く取り組んできました。本展の最後には、石垣栄太郎、浜地清松、ヘンリー杉本、上山鳥城男らの作品や資料を、近年の研究視点にもとづいて展示します。

和歌山の近代美術館として、こうした当地ゆかりの美術を研究する活動から、大きな歴史を再考する端緒を見つけていきたいと考えています。

展覧会情報

会場 和歌山県立近代美術館 1階展示室
会期 2025年07月12日(土)~2025年09月15日(月)
開館時間 9時30分〜17時(入場は16時30分まで)
休館日 月曜日(祝休日の7月21日、8月11日、9月15日は開館)、7月22日(火)、8月12日(火)
観覧料 一般600(480)円、大学生330(290)円 ( )内は20名以上の団体料金
*同時開催の「なつやすみの美術館15 美術の歴史と歴史の美術」及び 「MOMAWコレクション 現代の美術」も観覧可能
*高校生以下、65歳以上、障害者の方は無料
*毎月第4土曜日(7月26日、8月23日)は「紀陽文化財団の日」として大学生無料
*毎月第1日曜日(8月3日、9月7日)は無料入館日
主催 和歌山県立近代美術館

関連事業

ギャラリートーク(担当学芸員がお話しします)

2025年7月27日(日)、8月2日(土)、8月23日(土)

各日14:00〜 1時間程度 展示室にて(要観覧券)

同時開催

なつやすみの美術館15 美術の歴史と歴史の美術[同会期、同会場]

MOMAWコレクション 現代の美術[第2期:〜7月21日(月・祝)/第3期:7月26日(土)〜9月7日(日)/第4期:9月12日(金)〜10月19日(日)]

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