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香山小鳥:ゆめの日のかげ

会期:2013年09月14日(土)~2013年12月01日(日)

羽ばたきはしばしがほどのゆめのかげ光りて消ぬる小鳥よあはれ
(田中恭吉「ゆめの日のかげ」より)

創作版画の草創期に重要な足跡を残した香山小鳥(1892-1913)。 
親友だった田中恭吉と恩地孝四郎によって、彼の版画や絵葉書等が今日に伝えられました。 
没後100年を記念し、そのすべてを公開します。 

香山小鳥(本名 藤禄)は1892年2月、長野県飯田市に生まれました。1911年に長野県飯田中学校を卒業後、上京して家族で東京・深川に住むようになりました。1912年には竹久夢二と交友が始まり、そこで恩地孝四郎や田中恭吉と出会っています。そして同年4月に東京美術学校予備科に入学。彫刻科塑像部を志望しますが、7月には美校を去り、木版彫師の伊上凡骨の下で木版の勉強を始めました。その修業の傍ら、オリジナルの木版画制作を試みるようになります。しかし程なく病に倒れ、病床から「近ごろは版画の製作慾といふナイトメーアに襲はれて弱り切ってゐる。」と葉書に記しいくつかの作品を制作しますが、惜しくも翌1913年6月、わずか21歳で亡くなってしまいました。

親友の田中恭吉は香山小鳥の遺稿集をまとめるべく、竹久夢二や恩地孝四郎と相談しながら彼の短歌や画稿を集めました。しかし田中自身も病に倒れてしまいます。同じように病身となったことで香山への思いを新たに深め、田中も木版画の制作を始めます。その制作熱はすぐに仲間の恩地や藤森静雄にも伝わって、創作版画の頂点のひとつを示す版画誌『月映』の刊行へと結実していきました。香山の遺稿集はその後『月映』誌上で「ゆめの日のかげ」と題し実現されることになります。

展覧会では、日本の伝統的な木版技法を学びつつ、竹久夢二や田中恭吉らと交流し、『月映』をはじめとするその後の創作版画にも影響を及ぼした香山小鳥の足跡を、周辺の作品資料も交え、約80点によりたどります。

展覧会情報

会場 和歌山県立近代美術館 1階展示室A
会期 2013年09月14日(土)~2013年12月01日(日)
開館時間 9時30分-17時(入場は16時30分まで)
休館日 月曜日(ただし祝日の場合は開館し、翌日が休館)
観覧料 一般340(270)円、大学生230(180)円 ( )内は20名以上の団体料金
*高校生以下、65歳以上、障害者、県内に在学中の外国人留学生は無料
*コレクション展 2013-秋と共通
*平成25年度 文化庁 地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ
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