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幻想の美術

会期:2012年09月11日(火)~2012年11月25日(日)

幻想の美術 エドヴァルド・ムンク《病める子》1896

Visions on Paper

美術作品では、人間の心の中に浮かんだ幻想的なイメージが、想像力ゆたかに表現されることがあります。神や悪魔が登場し、現実にはありえないような出来事が起こる、この世ならざる世界が、古くより作品の中でさまざまに表現されてきました。

宗教的な主題はもちろん、神話や伝説、あるいは想像力をかき立てる幻想的な文学の世界も、美術作家たちに異世界への扉を開かせます。視覚化された異世界は、それが現実ではないと分かっていたとしても、見る者の知覚を揺るがし、やがて彼岸へと引き込んでいきます。

同時に美術作品として目に見える形で表された世界は、人間の内面世界を知る手がかりともなります。その関心から、作品のなかで、現実を超えた無意識の世界を表現しようとする試みも行われました。

興味深いのは、幻想の世界を描き出す表現方法として、版画や素描といった技法が非常に効果的であることです。白と黒だけの抑制された色彩、線描を主体とした即興的な描写、あるいは版の介在によって生まれる偶発的なイメージは、見る者に判断をゆだねる部分がゆえに、その想像力を一層喚起するようです。

本展では19世紀から20世紀にかけて生まれた、ヨーロッパと日本の幻想的な絵画作品を、版画と素描を中心に紹介します。紙の上に広がる幻想的な世界をどうぞお楽しみください。

[主な出品作品]ウジェーヌ・ドラクロワ《ファウスト》 1828年/オディロン・ルドン《聖アントワーヌの誘惑 第三集》 1896年/エドヴァルド・ムンク《病める子》 1896年/アンリ・ファンタン=ラトゥール《神々の黄昏:ジークフリートとラインの乙女》 1897年/パブロ・ピカソ《サルタンバンク》 1905/1913年/パウル・クレー 《内なる光の聖女》 1921年/マルク・シャガール《「シェヘラザードの夜」より 『版画集 アラビアンナイトからの4つの物語』》 1948年/谷中安規《詩画集「FOU」のための装画》 1936年/駒井哲郎《海底の祭》 1954年/瑛九《雲》 1957年/浜田知明《詩人》 1963年/難波田史男《作品》 1966年/清原啓子《雨期》 1980/1988年/坂上チユキ《セロクエル男爵とリボリール夫人》など、20作家95点を出品。

展覧会情報

会期 2012年09月11日(火)~2012年11月25日(日)
開館時間 9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日(9月17日、10月8日は開館、翌火曜日休館)
観覧料 一般340(270)円、大学生230(180)円( )内は20名以上の団体料金
高校生以下、65歳以上、障害者の方、県内に在学中の外国人留学生は無料
*「コレクション展 2012−秋」と共通

関連事業

講演会「東西の幻想美術:ドラクロワから浜田知明まで」

講師:橋 秀文(神奈川県立近代美術館 企画課長兼普及課長)
9月23日(日) 14時より 2階ホールにて(開場13時30分、先着120名、聴講無料)

フロア・レクチャー(学芸員による展示解説)

10月21日(日)、11月11日(日) 14時より会場にて(要観覧券)

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