下村観山展

会期:2026年05月30日(土)~2026年07月20日(月)

下村観山展

観山さん、おかえり

下村観山
画像提供:神奈川県立歴史博物館

現在の和歌山市に生まれた日本画家、下村観山(しもむら・かんざん/1873‒1930)の回顧展を開催します。

下村家は江戸時代を通じて紀伊徳川家に仕えた能楽師の家系です。8歳で上京した観山は、狩野芳崖、そして橋本雅邦に師事し、さらに第一期生として入学した東京美術学校では、校長・岡倉天心の指導を受け、画家の道を進みました。卒業後、母校で指導に当たりますが、天心の辞職に従って同校を去り、天心による日本美術院の創立に、横山大観、菱田春草らと参画します。

古画の模写・模造事業への参加、また2年にわたるイギリス留学などによって幅広い視野を培い、帰国後は、やまと絵、琳派などの伝統技法を消化しつつ、そこに西洋絵画由来の表現を融合させた革新的な日本画を次々と発表し、新時代を切り拓く画家の旗手となりました。

生誕地である和歌山、そして広く西日本でも45年ぶりの回顧展となる本展は、2部構成でその画業に迫ります。第1部では代表作を一堂に会し、その生涯と芸術をたどります。続く第2部では、日本、中国の古画研究や自身のルーツである能を主題とした制作、さらに渋沢栄一など政財界人との交流といった社会的な側面にも光を当てます。

生涯、芸術、社会という3つの視点からその仕事を紐解くことは、観山が生きた日本の近代という時代の諸相を明らかにすることにもつながるでしょう。


展示構成

1 部 画業をたどる―生涯と芸術

1部では日本美術院展覧会出品作を中心とした名品の数々により、その画業の全体像を紹介します。

第1 章 若き日の観山 1873‒1902 誕生・上京~修業時代~日本美術院への参加

現在の和歌山市小松原通五丁目に生まれ、ぶらくり丁でも暮らした観山。上京し、大きな時代の転換のなかで苦学して絵を学び、新しい絵画の創造を担う画家として頭角を現していきます。展覧会冒頭では、その若き日の活動を追います。

下村観山《熊野観花》1894(明治27)年 東京藝術大学[展示:5月30日‒6月28日]

 

第2章 西洋を識(し)る 1903‒1905 イギリス留学

観山は日本画家初の文部省留学生として、1903(明治36)年に渡英しました。イギリスでは、日本画と近しい画材である水彩画が盛んだったためです。本章では、ロンドンにおける研究の様子と、親交を結んだ作家アーサー・モリソン旧蔵の作品を大英博物館から里帰り紹介します。

下村観山《ディオゲネス》1903‒05(明治36‒38)年 大英博物館[通期展示]©2026 The Trustees of the British Museum

 

第3章 飛躍の時代 1906‒1913 帰国~日本美術院再興前夜

帰国後の観山は、岡倉天心による日本美術院の移転に従い、横山大観らとともに茨城県の五浦(いづら)に移り住みます。留学を経て、古画の技法に西洋絵画の表現を融合させながら、観山は日本美術の地平を拓く新たな表現の創出に挑んでいきます。

下村観山《木の間の秋》1907(明治40)年 東京国立近代美術館[通期展示]

 

下村観山《美人と舎利》1909(明治42)年 豊田市美術館[展示:6月23日‒7月20日]

 

第4章 画壇の牽引者として 1914‒1931 日本美術院再興~死没

天心の没後、観山は横山大観とともに活動休止状態に陥っていた日本美術院を再興します。第1部の本章では、和歌山会場限定で出品される作品も交えて、高みを目指した画家の円熟の境地と、さらなる挑戦に迫ります。

下村観山《弱法師》1915(大正4)年 東京国立博物館 重要文化財[展示:5月30日‒6月28日]Image: TNM Image Archives

 

和歌山会場限定出品 下村観山《白狐》1914(大正3)年 東京国立博物館[展示:6月23日‒7月5日、2週間限定公開]Image: TNM Image Archives

 

和歌山会場限定出品  下村観山《春雨》1916(大正5)年 東京国立博物館[展示:7月7日‒7月20日、2週間限定公開]Image: TNM Image Archives

 

下村観山《魚藍観音》1928(昭和3)年 西中山 妙福寺[通期展示]

 

下村観山《竹の子》1930(昭和5)年 個人蔵[通期展示]

 

第2部 制作を紐解く―時代と社会

第2部では、観山を取り巻く人や時代との関係から、観山の制作と社会との影響関係を明らかにします。

第1章 何をどう描いたか―不易流行

観山作品の土台には日本や中国の伝統的な絵画があります。古画の形式や画題によりながらも、そこには新たな解釈が加えられています。観山の試みた表現から、その制作意図を読み解いていきます。

下村観山《獅子図屛風》1918(大正7)年 水野美術館[展示:5月30日‒6月28日]

 

下村観山《毘沙門天 弁財天》1911(明治44)年 徳島県立近代美術館[展示:5月30日‒6月28日]

 

第2章 なぜこれを描いたか―日本近代と文化的アイデンティティ

江戸時代を通じて武家が支えた能楽師の家に生まれた観山は、幕藩体制の崩壊によって、苦しい少年時代を過ごします。到来した明治という新時代にふさわしい国家的アイデンティティの確立において、絵画は重要な役割を果たすことになり、観山自身のルーツにも絡んだ、能というモチーフのイメージ化も、画家としての課題となっていきました。

下村観山《大原之露》1900(明治33)年 茨城県近代美術館[展示:5月30日‒6月28日]

 

下村観山《菊慈童》1909(明治42)年頃 宮城県美術館[展示:6月30日‒7月20日]

 

下村観山《蒙古調伏曼荼羅授与之図》1899(明治32)年 元寇資料館[展示:6月30日‒7月20日]

 

 

 

第3章 作品の生きる場所、作品がつなぐもの

観山は、寺社や皇族、旧大名家、また財界人などから多くの重要な注文制作を受けました。特に渋沢栄一らによる支援組織「観山会」では、観山作品を通じた交流が、実業家や政治家の心持ちまでを磨く役割を果たします。また観山の場合、注文絵画のあり方が、注文の事情や意図を深く汲んだものであったことも注目されます。

下村観山《楓》1925(大正14)年 南湖神社[展示:5月30日‒6月28日] 画像提供:白河市歴史民俗資料館

[ ]内の展示期間は都合により変更となる可能性があります。会場では章立てと異なる位置に展示される場合があります。


音声ガイド 貸出料金:1台700円(税込)

ナビゲーター 松平健さん(俳優、歌手)

コメント
「暴れん坊将軍」シリーズでは紀州徳川家出身の将軍・徳川吉宗を演じましたが、観山も紀州徳川家に代々仕えた能楽師の家に育ったとのこと。紀州徳川家という共通点はまさにご縁でしょうか。150件を超える観山作品に出会えるのを私も楽しみにしています。

 

単眼鏡レンタル 貸出料金:1台300円(税込)

細部にこだわった観山の筆技をご覧いただくため、ビクセンの単眼鏡を有料で貸し出します。

 

展覧会情報

会場 和歌山県立近代美術館 1階展示室
会期 2026年05月30日(土)~2026年07月20日(月)
開館時間 9時30分〜17時(入場は16時30分まで)
休館日 月曜日(7月20日[海の日]は開館)
観覧料 一般1,500円(1,200円)、大学生1,000円(800円) ( )内は20名以上の団体料金
*同時期に開催の「MOMAWコレクション 現代の「版」表現」「なつやすみの美術館16 もしも“美術” がなかったら」も観覧可能
*高校生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方は無料
*6月27日(毎月第4土曜日)は、「紀陽文化財団の日」として大学生無料
主催 和歌山県立近代美術館、日本経済新聞社
協力 ビクセン
特別協力 神奈川県立歴史博物館、横浜美術館

関連事業

講演会「観山の間合い 2026年展を観て」

日本画を中心とした幅広い美術史研究に基づき、今回の下村観山展を踏まえ、改めて観山の芸術についてお話しいただきます。
5月31日(日)13時30分‒15時
講師:古田亮氏(東京藝術大学大学美術館 教授)
*当館2階ホールにて、13時開場、先着順80名程度。

ワークショップ「観山先生の筆を作ってみる」

日本画筆の始祖、宮内得應に連なる筆工房・清晨堂のご主人の指導により、実製作も交えて日本画の筆について学びます。
6月14日(日)9時30分‒12時30分(時間は予定)
講師:阿部悠季氏(筆工房 清晨堂主人)
*最大15名(予定)。材料費3,000円程度必要。当館ウェブサイトで申込受付。
*定員超過の場合抽選。受付時期など詳細は決まりしだい当館ウェブサイトで告知。

フロアレクチャー(学芸員による展示解説)

6月21日(日)、7月11日(土)14時‒15時
*会場にて、要観覧券。

変更がある場合は当館ウェブサイト等でお知らせします。

同時開催

MOMAW コレクション 現代の「版」表現 4月14日(火)〜6月28日(日)

なつやすみの美術館16 もしも美術がなかったら 711日(土)〜927日(日)

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