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館長からのメッセージ/2010.11.20

11月も半ばをすぎて急に秋も深まり、紅葉も日に日に進んでいます。皆様はお元気でおすごしでしょうか。

本日、「日本画が結ぶ心」と題する、「平山郁夫追悼展示」と「小沢道治展」という二つの展覧会が開幕しました。

平山郁夫先生(1930-2009)が亡くなられて、まもなく1年がたちます。平山先生は国民的画家として美術ファンに広く支持される一方、日本美術院の理事長として、東京藝術大学の学長として、後進の指導、文化財の保護、文化の国際交流などに大きく貢献されました。また、奥様の平山(旧姓松山)美知子さんの実家が和歌山県九度山町であったご縁で2008年4月からは当館の名誉館長をひき受けてく下さっていました。

平山先生が生涯のテーマとされたのは仏教伝来とシルクロードですが、今回の展示ではわが国の風景を描いた作品に的を絞らせていただきました。シルクロードの苛酷な自然と対峙してこられた平山先生の、水と緑にあふれた日本の自然に向ける静かな法悦のまなざしをご覧いただければ、と思います。

小沢道治先生(1915-2000)は九度山町出身の日本画家です。東京美術学校(現在の東京藝術大学)日本画科を卒業してまもなく戦地に赴き、復員後は九度山に戻って、高校の教師を勤めながら制作に打ち込み、1954年以来ほとんど毎年院展に出品し続けました。小沢先生の母親と松山美知子さんの母親が姉妹であったことから、学生時代、東京で松山家に出入りし、その影響で美知子さんが画家を志し、その結果、東京美術学校で美知子さんと平山先生が運命的な出会いをするに至ったとのことです。この展覧会が、故郷の紀伊山地の豊かな自然と向き合い、それをもとに独自の画風を作り上げていったこの画家の真摯な生き方と清澄で端正な芸術を再評価する機会となれば幸いです。

「日本画が結ぶ心」と題するこの二つの展覧会を、皆様ぜひご覧ください。

当館では10月23日から「保田春彦展 近作デッサンを中心に」と「コレクション展2010-秋冬」を開催しています。(2011年1月30日まで)「保田春彦展」では、現代の日本を代表する彫刻家のひとりで和歌山とゆかりの深い保田春彦先生の近作デッサン80点を、1950年代からの彫刻・デッサンと共に紹介しています。また、「コレクション展2010-秋冬」では、「和歌山と近代日本の美術」、「はじまりの時、1970年」の二つのテーマの下に当館のコレクションをご覧いただけます。「和歌山と近代日本の美術」では、和歌山ゆかりの作家を中心に、その作家が活躍したグループや友人、場所、時との関連によって幅を広げてきた当館のコレクションを、そして「はじまりの時、1970年」では、当館が開館した1970年に作られた作品や、当時話題になった展覧会に出品された作品など、時代を映しつつ、時を超えて今に息づいている作品を紹介しています。


2010年11月20日

雪山行二

 

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